新約聖書の中に以下のようなストーリーがあります。
ある旅人が追いはぎに襲われ、大怪我を負って道端に倒れた。その近くを祭司らが通りがかるのだが、敬虔であるはずの彼らは手を差し伸べることなくその場を通り過ぎてしまう。するとそこに、ユダヤ人の敵であり、軽蔑されていた少数民族のサマリア人がやってくる。そしてそのサマリア人は、立ち止まって旅人を助けた。
この「善きサマリア人のたとえ」のストーリーに似た状況を作り、
どれくらいの人が道にうずくまる人を助けるか
(=人々の行動に何が大きな影響もたらすか)
を調べる、「善きサマリア人の実験」を
プリンストン大学の心理学者
ジョン・ダーリーとダニエル・バッソンが実施しました。
Aグループの神学生らには「善きサマリア人のたとえ」を、
Bグループの神学生らには他のエピソードを近くのビルでレクチャーするよう依頼。
その道中で倒れている仕掛け人を配置し
どちらの学生が立ち止まってその人を助ける確率が高いかを計測しました。
おそらく多くの人は「善きサマリア人のたとえ」をレクチャーする学生の方が
倒れている人を助ける確率が高いと考えるでしょう。
しかし、
実験の結果、Aグループの学生もBグループの学生も
助ける確率に差はありませんでした。
一体、私たちの行動に影響を与えるものは何なのでしょうか?